慢性疾患は治らない?食生活・生活環境・ストレスの関係性について
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私が患者様に対して、
「慢性になっていますね!」
と言いますと、多くの患者さんは驚いた様に「えっ!慢性ですか?そんな風に思っていませんでした」と困惑顔で答えられます。
慢性疾患を説明する前に比較対照にされる、 急性疾患についても少し触れておきます。
急性疾患とは
外見上は赤く腫れ、熱をもち、日常生活にも支障をきたします。
慢性疾患とは
外見上、腫れはほとんど解りにくく(触診すれば解ります)熱は無く、むしろ逆に局部皮膚温度は下がります 。日常生活に著しい支障を来す方は少ないようですが、慢性の場合は 筋硬結 を伴います。前述の判断材料だけで、急性・慢性を決定づけるのは少々無理がありますが、おおよその解釈としては良いと思います。
慢性疾患が治る期間に個人差がある理由
「慢性だから治らない」、この様な内容の言葉を、よく患者さんから耳にします。
筋硬結を有する限り解決しないと思います。筋硬結の治療は初期であれば、短期間(早くて2週間後)で消失。長い年月を有している方は、数年~十数年治療期間を要します。個人差はかなりありますが筋硬結を有した年月の1/3程度の治療期間は必要かと思われます。
なぜ個人差があるのかを述べていきます。
食生活の偏り
偏食は無いか? 外食 は多くないか?インスタント食品、加工食品を常々食べている、スナック菓子類・甘い菓子類が多くないか?冷たい物を多く摂取していないか?
食生活の偏りは治療の期間の長さに関係してきます。
生活環境
いつも 悪い姿勢 や、 片寄った姿勢 で仕事や趣味など日常生活を営んでいないか?意外と多いのが寝る姿勢。右下にしてでないと眠れないとか(左下の場合でも同じ)うつぶせで寝ることができないとか。
何十年とこの姿勢で寝ている患者さんが多いです。
このような長年の片寄った姿勢の蓄積は体にひずみをもたらせ、下にしている側を圧迫するため、血液の流れが悪くなり、慢性的な痛みの原因になります。
性格・精神的ストレス
精神的ストレス因果関係については、患者さんはよくご存知の様ですが性格 も又、治療期間を左右させる重要な要素であると私が申しますと、多くの方が「えっ!何で性格が治療期間に?」と不思議そうな顔をされますが、科学的にも証明されています。
ですから、いくら私が治療しても、その患者さんが悪い環境を改善しなければ充分な効果は期待できません。その他、ここに書けば、きりがない程の注意事項や、説明する事がありますが、個人個人によって異なりますので、治療の場で、その方に応じた事を指導したいと思います。
慢性化した損傷部は脳にも記憶される
次に完全に慢性化(もちろん筋硬結を伴います)した患者さんの脳にはその悪い状態が記憶されてしまっているのです 。
(例えば、慢性腰痛を有しておれば、その状態が記憶される)
どういう事かと申しますと、例えば、テニス、ゴルフ等で、1年間だけ練習した人と、10年間練習した人は一般的に考えどちらが上手か、明らかに10年間練習を積み上げた人の方が上手なのは言うまでもありません。
なぜでしょうか?
年数に差が有るからです。一般的には、体で覚えている様に思われるようですが、実は脳でも覚えている (記憶されている)のです。ですから、ベテランになると、脳に深く記憶されていくわけで、慢性状態も全く同じ経路で生じています。
慢性期間の長い患者さん程、深く記憶されてしまっているのです。
慢性の治療は、その脳に深く入力された記憶を打ち消していかなければならないのです。ですから、前述した長い月日の治療期間を要するわけです。
ですが、年齢と共に回復力・治癒力が衰えてくることには、抵抗出来ません。
高齢者(個人差はありますが)の場合、日常生活により快適に過ごせる様にする事、症状の進行を抑制する事などを目的に、治療を進める方が多いです。
高齢者を若年者と同じ物差しで計る事は少々無理があるようです。